after-1

私の住んでいた住吉は倒壊がひどく、水道・ガスの開通メドがたたない。ガスに至っては最後の4月頃だという。
ブレーカーを落として来るのを忘れたので、大家さんに落としてもらうように電話する。
「真っ暗にしておくとかえって用心が悪いので、わざわざ電気をつけに行った」とのこと。感謝。
とにかく、生活インフラが揃うまでは実家で生活することにする。

そう決めるとパソコンが必要だ。着るものもたいして持って来なかった。
一式を取りに行くことにする。
警察署で2号線の通行許可書をとる。
昼間の道路は、1時間で信号1つ進めば良いほうなので、夜中の12時に出発。
朝7時までに住吉を出れば、何とか戻って来ることができるだろう。
机の下にある本体と、机から落ちかかっているディスプレイ。
部屋の中の家具は、まるでパズルのように重なり合っている。
一つの物を取りだすのに、重なりを見ながら一つ一つのけて行かなければ出ない。
また、いずれ、ここで、この家財道具と生活するんだ・・と思うと、むやみに物は壊せない。ばらばらにしすぎると、余計に後が大変だ。
飛び出した、引き出し、引き出しの中味、棚・オーディオ・・・壊さないよう、割らないよう、1つ1つのけていく。
どうみても、倒れてから渦状に揺れたとしか思えない、複雑な重なりようだ。
「こんなもの、ただのがれきやんか。全部捨ててしまえ」と、土足で、家財道具の上から踏み込もうとする父の無神経さが許せない。
自分のこれまでの生活の歴史全部を、踏みにじられる気がして、くやしさが込み上げる。
それは「今日」ではないけれど、いつかまたこれを全部片付けて、私はここで眠ったり、食事をしたりするのだ。そういう想いが何故わからない?!!!

エアコンもかけずに、汗だくになって6時間。ようやくパソコンだけを取りだした。
信じられないかもしれないが、すぐそこに見えているパソコンを取りだすまでに、少しづつ重なり合っている荷物をのけて、6時間かかった。
これ以上出発が遅れると、帰るのに半日かかる・・・と、他をあきらめて引き上げる。

1週間後、月曜日から出社せよとの連絡が入る。

[after-1 end]


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